1986年8月、当時、世界中で絶大な人気を誇ったハードロックバンド、デフ・レパードのドラマー、リック・アレンが左腕を失う大事故から奇跡的なカムバックを果たしたのと時を同じくして、私も音楽キャリアにおいての大きな一歩を踏み出しました。

同時期には、チェッカーズや光GENJIも所属していたレコード会社、ポニーキャニオンから「夢工場」としてメジャーデビューを果たしたのです。リック・アレンの復帰と重なったこの瞬間は、特に私にとって忘れられないものとなりました。同じドラマーとして、彼の強靭な精神力と音楽への献身に深く感銘を受けていた自分も、いよいよメジャー音楽シーンに進出するという大きな節目を迎えたからです。

後に私たちのバンドは、憧れのザ・ビートルズが伝説の来日公演を行った日本武道館のステージに立つ夢も叶いました。

少年時代の私がドラム演奏に興味を持ったのは、大好きなアーティストの一人であるカーペンターズのカレンが初期はヴォーカルとともにドラムスを担当していたというエピソードを知ったことがきっかけでした。

それまで、ストーリーテリングとイラストを描くことが大好きだった私は、友人たちと自費出版のマンガ本を作ることに夢中になっていましたが、その情熱は徐々に音楽に傾いていきました。
夢工場として最大のヒット曲であるセカンドシングル「ひとりぼっちのデュエット」がマンガアニメ「タッチ」の主題歌だったことも、不思議な運命のいたずらだったように思います。

そんな、音楽やアートへの探求が私の中で自然に進化し、より深く人の感情に訴える手法としてアロマセラピーやマインドフルネスに興味を持つようになったのは、まさに自然な流れでした。

現在、アーティスト活動とは別に東京の警備会社で取締役として自身のスキルを活かした事業を模索していますが、香りがもたらす“プルースト効果”のセキュリティへの応用も大きなテーマのひとつです。

人は特定の香りを嗅いだとき、その香りに紐づいた過去の記憶や感情が無意識に呼び起こされることから、安らぎや癒しを感じる空間演出や環境改善が可能だと考えているからです。
人の五感のうち「嗅覚」以外の「視覚」「聴覚」「味覚」「触覚」は理性や知性を司る大脳新皮質へと送られるのですが、嗅覚、つまり香りだけは感情や本能を司る大脳辺縁系に送られます。そこから視床下部へ伝わり自律神経やホルモンバランスに働きかけるため、美容や健康にも大きな影響を与えます。


私たちは、単に美しい香りを創り出すだけでなく、お客さまの日々の暮らしをより豊かにし、ときめくような体験を創造することに努めています。私たちの物語を形作ってきた体験が私たちにインスピレーションを与え続けるように、私たちのキャンドルが皆様の幸福、ウェルビーイングに貢献できることを願っています。

最後までお読みくださりありがとうございました。皆さまと共にこの旅を続けていくことを楽しみにしています。